第4回キラク川柳で見事、優秀賞に輝いた金野明子様。約10年間介護の仕事に携わられ、普段は受付や送迎の運転、外出の介添え、フラワーアレンジの催しで講師をされています。金野様は仕事のやりがいをこのように話してくださいました。
『利用者様と一緒に桜の花を見に行ったんです。「きれいな桜の花を見れてよかった~」って、とても喜んでくださいました。残念ながらその数日後、その方は亡くなってしまいましたが、最期に桜の花を見せてあげることができて良かった!介護に携わる仕事をしていて本当によかった!と心から思うんです。』
涙ながらに熱い想いを語る金野様のお姿が非常に印象的でした。
優秀賞を受賞した川柳「100年は あっという間と 言う100才」は、昨年3月に100才を迎えられたご利用者、野田うめ子様とのやりとりから生まれたそうです。
ある日、入浴を終えた野田様を見かけた金野様。今日が野田様のお誕生日であることを思い出し「100才おめでとうございます!」と声をかけます。すると野田様から意外な言葉が返ってきました。
「100年なんてあっという間よ~!」
100年があっという間なんて!金野様は大変驚きました。この出来事が印象に残り、職場の忘年会で企画された「おもしろ川柳大会」に投稿したんだそうです。
実は野田様は、昨年10月にお亡くなりになられ、偶然にも私たちが訪問した3日後に一周忌を迎えられるとのこと。ご本人に今回の受賞をご報告したかったと、非常に残念がられておられました。
野田様は、亡くなる直前まで凛とされており、朝から部屋の掃除等、ご自分でできることは何でもされていたそうです。毎日、バナナを一本と南高梅を一粒、そしてご自身手作りのレモン水を飲まれていました。人柄も非常におだやかで、人生のお手本のような方だったそうです。きっと、そんな人柄の野田様だからこそ「100年はあっという間」と思えたのでしょうね。
金野様は今回の受賞を受け、こんなことを言われていました。
「野田さんの言葉をそのまま川柳にしただけで、私が頂く賞ではないんです。野田さんの賞であり、また、野田さんがこのような言葉を発することができる環境を作った、ここの介護スタッフの賞なんです!」
このように感謝の気持ちを忘れない、金野様のやさしく包容力のある人柄もまた、野田様の言葉を引き出した力なのではないでしょうか。
金野様、優秀賞の受賞本当におめでとうございました。天国にいらっしゃる野田様もきっと喜んでくださっていることと思います。これからもその素敵な笑顔で、利用者様に元気を差し上げていってくださいね。