第9回キラク川柳 6月の月間優秀作品｜キラク介護川柳の部屋

夏は陰冬は日向になる介護

人生の仕上げに妻の介護する

ゆっくりと親の時間に溶けこんで

七年間泣いた笑った喧嘩した

叱りたくないのに今日も叱ってる

ゆっくりと待ちます同じ目の高さ

介護するされる二人は主人公

冷蔵庫いっぱいにして母の老い

僕の手を見て「大きい」と笑う母

聞き出すぞあの味噌だれの作り方

墓石を介護している親不孝

堪忍の袋縫い縫いする介護

紙おむつ父の威厳も包み込む

山の日も谷の日そして笑顔の日

母抱いて母に抱きしめられている

ロボットと仕事をシェア介護する

母を抱く母にもらったこの腕で

終わりない介護の知恵を分かち合う

「女子会に行ってきます」とデイ・サービス

日々濃厚介護ドラマは雨のち晴れ

ファッションと思えば楽し紙パンツ

亡き母の介護日記は宝物

支えてる支えられてるかもしれず

無表情それでも動く妻の顔

不自由が二人の時間を増やす幸（さち）

困らせて泣かせてくれてありがとう

する、される誰にもわからない介護

毎日を重ねて今日も日が暮れる

演出も脚本もない床の笑み

覚悟する老老介護子はいない

手をつなぎここで咲こうよ最後まで

「あれ」「それ」で分かる私はバイリンガル

粗相した妻が少女の貌で立つ

あのあれは？そうねそれよねそうしましょう！

助けてと言っていいのよ介護はね

出来悪いせがれ長寿の秘薬です

二の腕が介護の日々に太くなり

介護終え語り部になる者多し

この人とあの日に決めて介護あり

添うことを介助犬から教えられ

介護する間が最後の親孝行

あらそうと同じ話にオブラート

介護する人も解からぬ母にバラ

介護する人を支える人も要る

母逝くも見るは介護の夢ばかり

白・ピンク・花・星・ハート手話の爪

引き出しに使わぬままの肩もみ券

グーの手があなたの笑顔でパーになる

童謡でひらがな気分になってくる

掛け捨てで終わって欲しい介護料