第5回キラク川柳 6月の月間優秀作品｜キラク介護川柳の部屋

大笑い 空気感染 する職場

妻が来る 聞いて急いで リハビリし

ありがとう ひと言こころ 円くする

もの言えぬ 母は感謝の 手を添える

介護され されるつらさを 今知りぬ

苦も楽も 併せ楽しく 介護する

「あれ」と「それ」 通じる会話に 笑いあり

将来の 夢はと語る 母米寿

百歳の 川柳一句に 励まされ

はいアーン 思わずわたしも 口あける

また来ると 肩に手を置き 後ろ髪

介護の手 握り返され 愛を知る

いい夢を 今日は見れると 少女の目

口ゲンカ 重ねた妻の 背のいとし

愛されて 愛して今日の 花を活け

母眠り 一日終わる この佳き日

子にかえり 甘える母に 我を見る

結んだ手 ぬくもり届け 心まで

病む身より 母を気遣う 父らしく

介護師の 母の背中に 愛を見る

看護師を いたわる母の いじらしさ

妻の笑み 支えに登る 八十路

日々の苦も ほどける母の 笑う顔

抱きしめて 体を起こし 匂いかぐ

着心地が いいから笑みも こぼれ出る

シワシワの 祖母の身体は 美しい

ほめられて スカーフ選び 弾む祖母

リハビリの 笑顔の裏に 努力あり

ありがとうの 笑顔に明日も やる気出る

「良く来たね」 ベッドの母の目 溶けてゆく

十年間 介護現場へ いる誇り

遺伝かな 堪忍袋が 伸び縮み

老い花を 感謝で咲かす 子の務め

車イス ベンツに変えろと ごねる父

寝たきりの 母から学ぶ 思いやり

口ずさむ 歌で人生 測り知る

叶わない 寝ていても愚痴 言わぬ母

できたこと 共に喜び 生きていく

歳重ね やっと分かった 親の愚痴

介護士の あじさいの花 壁に咲く

介護士を 呼ぶ声飛んで 花火だな

体拭く 間に聞き知る なれそめを

デイに来て 皆と分け合う 愛と悲

言葉なく 手振り身振りを 名推理

スカーフが 介護のへやの 花となり

シーソーの ような会話に 西日差し

「手貸して」 心の声が 聞こえるよ

年寄りの 負担を減らし 愛増やす

荷物持ち 心も一緒に 軽くなる

介護とは 絆をつなぐ 人支え