第16回キラク介護川柳受賞作品発表

キラク大賞
賞状と副賞(5万円の商品券)進呈
ゆっくりと過ぎる時間に笑顔咲く アップルパイ

 笑顔の花は、施設の窓辺から外を眺めて見つけた朝顔や向日葵などを想像してみました。そこから目を施設内に向ければ、入居者やスタッフの朗らかな挨拶が花となって咲いているのでしょうか。
 かつて慌ただしい時間を生きてきた人たちは、慌ただしさが生きがいにもなっていた頃があったのでしょう。施設に入居すれば、そういった時間は既に過去となります。
 ゆっくりと時間が過ぎていけば、ゆったりとした気持ちになってきます。にこやかな表情が花に見えてくる幸せな時間を慈しんで生まれた作品と理解しました。

 今年もたくさんのご応募をいただき誠にありがとうございました。事務局一同、心より御礼申し上げます。

 コロナ禍も4年目に突入となり、徐々にコロナ禍前の生活に戻りつつあるなか、スポーツの大会では有観客での試合を再開して更なる盛り上がりを見せています。
 今回のキラク介護川柳の応募作品を拝読していると、特にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)での日本チームの活躍で盛り上がり、勇気をもらった様子がうかがえました。コロナ禍で人との距離を取らざるを得ない状況が続いていたこともあり、久しぶりにご家族や施設の方々と盛り上がれるスポーツ観戦は特別な喜びもあったのではないでしょうか。介護現場もチームで取り組むことが多いと存じますが、チームの力に感銘を受けた方も多くいらっしゃったと思います。

 また今年3月にはマスク着用が個人の判断に委ねられ、徐々にマスクなしの生活へも戻りつつあります。マスクがないと口元の表情もよく分かり、これまでよりも感情が伝わるようになります。そんなわくわくした気持ちを詠んだ川柳もあり、前向きな気持ちにさせていただきました。これまで以上に皆さまのご家庭や施設内に笑顔が溢れることを願っております。

 川柳から感じる溢れんばかりのあたたかさは、私たちの心に多くの活力と安らぎを与えてくれました。キラク介護川柳を支えてくださるすべての皆さま、いつもありがとうございます。来年もまた、素敵な川柳と共にお会いできることを心より楽しみにしております。

キラク介護川柳の部屋 運営事務局

優秀賞賞状と副賞(2万円の商品券)進呈
AIも超えられません介護愛  天和

 「二糖流」とは、いい造語を持ってきました。このクリーンヒットが作品を支えています。
 職員と孫にはいつも優しい。裏を返せば、娘や息子にはあまり素直ではない時もあるのでしょう。でも、それでいいじゃないですか。聖人君子ではないのですから、偶には不機嫌になることもあっていいでしょう。
 いつも丁寧に介護してくれる職員に対して優しい態度を見せるのは当然のことです。いつまでも元気でいてね、と言ってくれる孫に対して優しい顔になれるのも自然なことでしょう。これが、お世話になりながら長生きするための秘訣でもあるのですから。

優秀賞賞状と副賞(2万円の商品券)進呈
車椅子思わず立ってショータイム  カワサン

 大谷翔平選手の活躍には目が離せません。テレビの画面にいつも釘付けになります。打って走って投げての一つひとつに感動をもらいます。
 その感動が車椅子に乗っている人の全身に回れば、思わず立ってしまうことも不思議ではありません。その光景が周囲をさらに感動させます。
 感動とは、そのままでは終わりません。共感が共感を呼ぶように、必ず誰かに伝わるものなのです。

優秀賞賞状と副賞(2万円の商品券)進呈
職員と孫に優しい二糖流  トコロイド

 対話型AIのことが話題になっています。どこまで進化していくのでしょうか。怖いようなこともイメージしてしまう近未来ですが、介護される方の孤独を慰めてくれる一助になることは確かなようです。
 AIロボットと対話しながら、あれこれ教えてもらったり、愚痴を聞いてもらったりと、いろいろな場面で活用する時代になっていくことでしょう。
 でも、最終的には人間的な愛情に必ず辿り着くはずです。これに優るものはありません。介護する人間の愛と温もりを超えるAIは現れないでしょう。

鈴木ひとみ賞賞状と副賞(1万円の商品券)進呈
今日もまた泣くと笑うの二刀流 もっちゃん

 テンポのいい作品です。泣く中にも辛い涙、嬉しい涙、悔しい涙、さらに人には微妙な感情があります。
 笑うも同様に、一括りには出来ない沢山の笑いがあります。だから楽しいとも言えるし怖いとも言えます。
 良いこともそうでないことも、やってくるから人生に彩りが付きます。
 リズミカルなので内容が重くならず、「どんと来い!」と、たくましく生きているようで、読む側が励まされます。
(評:鈴木ひとみ)

順不同 敬称略

団体賞
団体賞作品

 生徒と教職員の皆さま合わせて315通ものご応募をいただき、3年連続の団体賞受賞となりました。
 優しさや思いやりに溢れた皆さまの川柳は、読む人の心に寄り添い、あたたかな気持ちになる素敵な作品ばかりでした。人と人とのつながりや支え合うことの大切さを学び、理解することが、介護や福祉に関わる一歩であると感じております。川柳から伝わる若い皆さまの感性を頼もしく、そして嬉しく思いました。この度は団体賞の受賞、おめでとうございます。
 岡山県立瀬戸南高等学校様は団体賞3年連続受賞となり、殿堂入りとなります。

選者
一般社団法人 全日本川柳協会
  理事 三上 博史 氏
各賞について

賞状および賞品の発送は、10月中旬を予定しております。
今しばらくお待ちくださいませ。

キラク介護川柳特別賞作品と参加賞についてはこちら