第7回キラク介護川柳受賞作品発表

キラク大賞
賞状と副賞(5蔓延の商品券)進呈
布団干し浅きくぼみに頬寄せる
(ペンネーム ちえ)

今、目の前には介護される人、きっと作者の母親だと思われる人はもうおらず、作者は母が作った布団の窪みに頬を寄せているのでしょう。直接ではなく、母が作った窪みに頬を寄せる仕草で、いっそう悲しみが伝わってきます。
きっと、本人の前では作者は気丈に明るく振舞い、本人に気を使わせまいとしているのでしょう。「浅い」という言葉に万感が込められており、見せられない悲しみや愛情をその窪みに寄せている姿に胸打たれます。

 第7回を迎えたキラク介護川柳。応募点数は昨年よりさらに増え、約6000通にものぼりました。このようにたくさんのご応募をいただき、事務局員一同、大変感謝しております。本当にありがとうございました。

 今回は、介護を通じた親子間の想いを詠んだ川柳が多く目にとまりました。思いやりにあふれた句、日々の感謝を綴った句、また、思い通りにいかないもどかしさを唄った句など、みなさまそれぞれの想いがひしひしと胸に伝わる句が多かったように思います。

 日々介護をする中で、大変なことも多いと察しますが、その中で改めて感じる「感謝」の念は、何にも変えることができない大切な財産なのではないか、と思いました。お世話を「させていただく」 親子間でも、このような想いを忘れず、思いやりをもって接されるお姿が作品から感じとれ、事務局員一同、頭が下がる思いです。

 皆さまからご応募頂いた素晴らしい作品が、より多くの共感を得、キラク介護川柳が少しでもみなさまの励みになりますよう、今後とも続けていきたいと思っています。

 ご応募いただきましたみなさま、そして、応募を陰で支えてくださっているみなさま、本当にありがとうございました。来年もまた、素晴らしい一句に出会えることを、事務局員一同楽しみにお待ちしております。

キラク介護川柳の部屋 運営事務局

病む窓に青空それもひと握り

青空が一握りというのはどういうことなのでしょうか。病院の窓はたいてい大きくとってあり、明るく広いのが通常です。それが一握りというのは、作者が感じる空の広さがそうだということなのでしょう。病んでいる身には窓に大きく広がる青空ではあっても、それをすべて享受するのはもう無理だ、と感じているように思います。
しかし、まだ青空はそこにある。一握りではあっても、それは何処までも青くすがすがしく、そして明るい。

幸せの意味を何度も考える

介護が長引けば長引くほど、自分だけがどうしてと苦しさが増し、その中にあってはささやかなことに幸せを求めるようになるのではないでしょうか。また、以前には感じられなかった自然の風物や、人々の細やかな仕草のなかに幸せを感じられるようになるのでしょう。
その度毎に人は繰り返し幸せの意味を考え、やがてほんものの幸せに辿りつけるのだと思います。そして、その幸せこそがあなたの上で光輝くほんものの幸せだと気付くのです。

ありがとうと声なき父ののどがなる

父親というものは、子どもの前ではいつまでも立派な父親でいたいもので、弱みなどみせたくないものです。まして子どもにありがとうなどと気恥ずかしくてなかなか言えないものです。
その父親が素直になって、子どもに「ありがとう」と言えるまでの時間の長さとそこに起こったいろんな出来事は察するに余りあるものがあります。それは心からの父の感謝の言葉であり、喉が鳴るだけでもう声にはならない、子どもである作者にははっきりと聞こえている声なのです。

鈴木ひとみ賞作品

お父様の素敵な車の横に乗りたい気持ちです。将来、横2人乗りの車いすが開発されるかも。同じ目の高さで、表情を見ながらおしゃべりできたら、お出かけもウンと楽しいでしょうね。
(評:鈴木ひとみ)

順不同 敬称略

団体賞作品

生徒さんが詠んだ294句もの作品は、若々しい感性に満ちあふれていました。高校生の考える介護とは、こんなにも思いやりに満ちていて明るいものなのだと、事務局一同心が洗われると同時に、とっても明るい気持ちにさせていただきました。本当にありがとうございました。

審査員特別賞

毎月何通も応募いただく銀チャン様の作品が審査員の目にとまり、今回新たに賞をもうけさせていただきました。頭をひねり一生懸命考えられた作品を、一句ずつ丁寧に応募用紙に書かれるお姿が、その筆跡から目に浮かんできます。銀ちゃん様、おめでとうございます。

キラク大賞・優秀賞 選者 一般社団法人全日本川柳協会
					事務局次長 真鍋 心平太 氏

賞状および賞品の発送は、10月初旬を予定しております。今しばらくお待ちくださいませ。

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