第2回キラク川柳 5月の月間優秀作品｜キラク介護川柳の部屋

入所者の 皆福耳や 福よ来い

トランスで 肉をつかまれ ダイエット

手のしわに 長い道のり 刻まれて

献眼の 電話番号 部屋にかけ

カラオケに はじけて入れ歯 スッポ抜け

介護され 癒される身に 夢が湧く

千代紙を 折って介護に 花添える

外介護 翳す手の甲 玉の汗

要介護 今再びの 夫婦旅

デイ帰り 隣の婆さん 艶っぽい

癒すはず 帰路には逆に 癒されて

真っすぐに 生きて十指が 節くれる

背負われて 息子の背中に 愛感じ

やらぬより やるつらさなら 後悔なし

ぬくもりを 身近に感じる ボランティア

入浴が 昔の母に 引き戻す

介護度と 株価下がるな 老父言う

桜草 特等席の 車椅子

電池かえ 仏のように 拝まれる

抱っこして ふわっと香った なつかしさ

良薬に 勝る介護に 血が通う

泣く母に 生きていてくれて ありがとう

介護の手 命の重さを 受け止める

人間の いのちの重さ 知る介護

添い寝する 猫と母の背 似て丸く

その顔に 僕を育てた シワの数

父のひげ 初めてそって 震えた手

寄り添った 父の代わりに 手を添える

おちことが 痛いと自慢の デイの友

車椅子 あまりの軽さに 涙出る

ディサービス 社交上手の 祖母出番

しわだらけ 苦労を刻んだ 祖母の腕

目で笑う 喋れぬ妻の 有難う

「おてだまの せんせい」祖母の 声に艶

笑顔待つ 施設へ妻は ペダル漕ぐ

車いす おして気がつく 景色あり

つつがなく 朝が始まり 感謝する

介護って 心をつなぐ 魔法だね

泣き笑い いっぱいあって いい介護

おじいちゃん よりも社長で シャンとする。

おんぶされ 歩いた道を おんぶする

妻の手を 引いてたはずが 支えられ

にぎる手は むかしと変わるぬ 母のぬくもり

デイ前は 遠足前の 孫みたい

同病に なって気付いた 母の意志

これしきの 介護と笑う 妻に謝す

人生の 達人ふれる 介護職

手をつなぎ 挑む段差の 天城越え

ヘルパーさん 待ってたよーに 元気いただく

祖母に似た 母の目と鼻 ぼくも似る