vol.84
キラク川柳の部屋
運営事務局
立花 由佳
この句は入院していた祖母と過ごした時間を詠んだ句です。昨年の今頃、祖母が入院しました。これまで草抜きや畑仕事が日課、80代後半にも関わらず自転車に乗って出かけることができるほど元気だったので、家族は皆寝耳に水でした。一時退院しましたが、3ヶ月後に再入院、そこから一気に体が衰えて寝たきりに。元気なうちは意識していませんでしたが、会いにいくと必ず「気をつけて帰りね〜よ〜(帰ってね)」と言ってくれていた祖母。次第に言葉を発することが難しくなり、目が開かなくなっても、会話ができなくなっても声を振り絞って「気をつけて」と言ってくれていました。声を発する事ができなくなってからは温もりと指先で気持ちを伝えてくれていたように思います。一日一日を家族・親戚で繋ぐように過ごした日々で「介護するひと、される人」の気持ちや当たり前のように過ごしていた毎日のかけがえなさを、身を持って感じました。病室で祖母と過ごす時間は家族の在り方や温かさを教えてくれたような気がします。
ある日、祖母の病室から今までに見た事のない程大きな虹が見えました。滅多に見る事ができず、幸運の象徴とされている二重虹でした。家族を笑顔にしてくれた素晴らしい二重虹。忘れられない日になりました。
二重虹には「よくがんばったね」、
「これからあなたに幸せがやってきます」という
卒業や祝福の意味があるそうです。