第8回キラク川柳 4月の月間優秀作品｜キラク介護川柳の部屋

時に鬼時には神になる介護

身を以って老いて行く事教えられ

介護され息子の背中に父思う

キツイことたまに言っては反省し

臥す妻の小さき寝間着星に干す

握る手に母子の月日流れゆく

辛かったあの日が今は温かい（あったかい）

不自由な手で妻に感謝のラブレター

もの言わぬ君に手重ね耳澄ます

寝息聞き日々平凡のありがたさ

お手玉の器用な手つき懐かしく

どなたさま手合わす母に詫びて泣く

三人を育てて母は子に戻り

好きな歌忘れず唄う母といる

スプーンの鰻が母の足と成れ

孝行もせずに親から介護受け

“掴まれ”と寡黙な祖父が腰支え

声も無くさし出す父の物言う手

おしゃれして見舞いの父を母は待つ

食べられないだったらいっしょに我慢する

母の日は居室の花を倍にしよ

薄れゆく記憶で僕をさがしてる

父さんのとこへ急いで逝かないで

渡さんぞワシだけのものこの病

亡き父を母と一緒に探す我

ふん世話が苦にせずできてこそ介護

丸椅子に掛けたり立ったりする介護

階段で母の手をとり杖になり

母の手のぬくもり感じる台所

はにかんでみつめる二人最期まで

右左口は達者な車椅子

認知症ありのままへとかえるだけ

啄木を真似る気もあり母を負う

ハゲ頭インコとまって写メる母

リハビリに杖が励ます一歩前

生甲斐を抱いてリハビリ希望の灯

神サマに貰った時間を病母（はは）といる

泣き顔と勘違いした祖母の笑み

ぽかぽかゆっくり今日が○を描く

ゆったりと時間を止めてする介護

寝たきりの母と晩酌する日課

湯も笑みもあふれるほどに似合う父

父の墓参母紅さして車椅子

嫁いびり今じゃ許せて姑（はは）介護

季節ごと近い遠足ありがとう

母眠りひだまり残る車椅子

去る我にまたねと握らす五円玉

物言わぬ母の背にある道標！

老犬と散歩する道近くなり

車椅子止めて苦労の立ち話